![]() | 薬指の標本 (新潮文庫) (1997/12) 小川 洋子 商品詳細を見る |
彼のまわりにも、まだたくさん活字が残っていた。彼の足元でわたしは、無防備な小動物になってしまったような気分だった。何をされても、指の関節を踏み付けられても、背中を蹴られても、短い悲鳴を上げるだけで、それでも休みなく活字を拾い続けるのだろうかと思った。
エローい!
物語全体を通してとんでもなくエロかった。直接的な表現はほとんど無いんですが何故かエロい。ただし下品なエロさでもない。例えるなら琥珀色の水あめの中を進むような、そんなどちらを向いても纏わりついてくるようなエロさ。もともと小川洋子さんはどこか色香のある文章を書く方だと思ってましたが、この「薬指の標本」はその集大成みたいな作品だなと思いました。
特に上で引用した、床に散らばった和文タイプの活字を同僚の男性が見守る中で主人公が拾い続けるシーン。んもー、とんでもなくエロい。なんでこんなにエロいのかわからんけどとにかくエロい。
この同僚の男性っつーのがいろんなフェティシズムの塊みたいなキャラクターだからかなと思うんですが。
ちなみにこの作品、フランスで映画化されたそうです。なんか納得。
濃密な読書体験でございました。エロいエロい書き過ぎてゲシュタルト崩壊気味ですよ。
